いまだHip Hopシーンに影響を与え続けるDetroitのレジェンド、J Dilla。彼の親友であるFrank 'N DankのFrank Nittと、Dillaの実弟であるIlla Jの2人からなるYancey Boysのアルバムです。
ビートはFrank Nittを中心として管理をするYancey Media Groupにて、厳重に保管されていた紛うことなきJ Dillaの未発表音源の数々。J Dillaが亡くなったあと無数のブートがストリートにさもオフィシャルかのような顔で流れていったこと、Youtubeを中心にビートジャックやRemixといったものが蔓延してしまい、正しくJ Dilla(とその遺族)にディールが流れていかないことを受けて設立されたグループとなっています。
これまでにもIlla Jのソロ作である"Yancey Boys"(まぎらわしいですがw)や、Pete RockがDillaの音源でMixしたものなどで未発表音源は収録されていましたが、全編Dillaビーツ、というのもすごいですね。まずこれだけアンリリースドな音があるだけでもすごいw
ビート自体もDillaの功績に思いを馳せるにふさわしい内容で、まだJay Dee名義で活動していたPharcyde期の流れるような美しい旋律のビートから、ソウルクエリアンズ期を経てWelcome To Detroit期の深淵に食い込むようなズブズブの音までを広く味わうことができます。アルバムの雰囲気自体は、Slum VillageのFantasticシリーズに近いものを感じました。
客演にも彼に縁の深いメンツが集い、Slum VillageのT3やBeat JunkiesのJ Rocc、Frankの相方DankにGuilty Simpson、そして盟友Commonといった何とも豪華なメンバーがDillaの残したビートに命を吹き込んでいっています。
02. Fisherman ft. J Rocc, Vice & Detroit Serious
これなんかはWelcome To DetroitやThe Shiningに感じたあの独特のたるんでるけどタイト、というDilla節を感じられますね。ひたすらにドープ。PVのIlla JがDillaに似すぎてヤバい。
11. Quicksand ft. Common & Dezi Paige
Runnin'レベルのクラシック足りえるほどに美しいビート。ほれぼれしますわぁ…。フックのDezi Paigeの情感溢れる歌い上げ方も泣きを誘います。また、Illa Jの冒頭のリリックがすばらしいです。
"I heard a hater say I never be more than J Dilla's little brother
I never be more than an insignificant other
I never be more than a video stand-in"
ヘイターたちが彼について色々言ってきたりDillaの実弟ということで色眼鏡で見られていたことが多かったのでしょう。でも彼はその直後に強い言葉で一蹴します。
"But here I am still standing"
Illa Jにとって、前作の"Yancey Boys"が兄への弔いの作品だとすれば(実際にジャケでも彼の瞳にはDillaが映っていました) 、本作こそがIlla Jの自立への第一歩となるのではないでしょうか。
実際に彼のラップのスキルも前作に比べると飛躍的に進歩していて、複雑なシーケンスで組んだライミングなど、同じDetroitのElzhiなどのライム巧者から学んでいった点が活かされている気がします。
決して現行シーンに沿ったサウンドではありませんが、間違いなくHip Hopであり、間違いなくDetroit Musicであると思います。そしてDillaのイズムはBlack MilkやHouse ShoesといったいまのDetroitに確実に繋がっていることを改めて感じさせる出来になっています。
ちょっと熱量多めで紹介しましたが、現行シーンからHip Hopに入ったかたや、ジャジーな方面から来たかたには最適な一枚であると思います。サクっとオススメできる優しいアルバムですので、ぜひ!!
ヘイターたちが彼について色々言ってきたりDillaの実弟ということで色眼鏡で見られていたことが多かったのでしょう。でも彼はその直後に強い言葉で一蹴します。
"But here I am still standing"
Illa Jにとって、前作の"Yancey Boys"が兄への弔いの作品だとすれば(実際にジャケでも彼の瞳にはDillaが映っていました) 、本作こそがIlla Jの自立への第一歩となるのではないでしょうか。
実際に彼のラップのスキルも前作に比べると飛躍的に進歩していて、複雑なシーケンスで組んだライミングなど、同じDetroitのElzhiなどのライム巧者から学んでいった点が活かされている気がします。
決して現行シーンに沿ったサウンドではありませんが、間違いなくHip Hopであり、間違いなくDetroit Musicであると思います。そしてDillaのイズムはBlack MilkやHouse ShoesといったいまのDetroitに確実に繋がっていることを改めて感じさせる出来になっています。
ちょっと熱量多めで紹介しましたが、現行シーンからHip Hopに入ったかたや、ジャジーな方面から来たかたには最適な一枚であると思います。サクっとオススメできる優しいアルバムですので、ぜひ!!
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