Funky Freshin'

日々リリースされる膨大なHip Hop / R&Bの海に溺れながら音源を紹介していきます

1月のまとめに続いて2月にリリースされたR&B作品について、拾えている範囲で紹介したいと思います。今月はR&Bシーン的に稼ぎところとなる一大イベント、バレンタインデーがありましたのでいつもより作品数が多かったですね。

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テキサスのラッパー/シンガー、Ash Kのシリーズ2作目となるミクステ、"Relationship 102"。去年の"Relationship 101" からの続編になっているようです。前作もそうでしたが、サウンドとしてはその時の流行りとなっているラインを確実に押さえた音が多く、安心して聴くことができます。ただ、そのぶんコレ!といった突出した曲が見受けられないので少しもったいない。 ラストに収録されているDrunk In Loveのカバーも、独自のカバーというよりはBeyonceのものまねに終わってしまっていて残念。10. Crazy ft. Showtymのような、メインストリームR&Bをなぞりつつもストリートも意識した音なんかは彼女の声質的にも合っていると思うので、この方向でもう一段階深化した作品を聴きたいところ。

お次はこの作品以外の情報が一切つかめなかったFrench Kixxなるグループ(と思われる)の1st(と思われる)EP、"With These Rips"。全5曲のEP形式になっていて、サウンド的にはTrapビートの現行R&Bの意匠を継承した感じです。ジャケから見るに3人組で、おそらくですが曲によってメインボーカルとコーラスが変わっていくスタイルになっています。デスチャのように(というかシュプリームスみたいに)メインがドンと鎮座して…という感じではなさそうですが、今後の売りかたとかでその辺は固まっていくのかも。インディ系のダウナーな雰囲気がいい03. Rain Dance、琴の音がフレンチなのにオリエンタル感を演出していく04. In The Mirrorなど、EPとして悪いモノではないので、いっそう情報が欲しくなります。

カリフォルニアはパサデナ出身のシンガー、Noah VのデビューEP、"The Intern EP"。どうやら大学の卒業を祝して製作した作品のようです。これがなかなかの秀作になっています。イントロ曲01. Good Moneyのウェッサイ風味から始まり、05. Oohkillem ft. Capriではアンビエント系R&Bにも嗜好を広げ、次の06. Does Anybody Have A Lighterでは昨今のATL系シンガーのような、グッとテンポを落として情感たっぷりに歌い上げていきます。特に06. は後半から曲の雰囲気を一段変えてアウトロ的に挿し込むという、JTの諸作にも通じる手法で引き寄せてきます。卒業祝いで製作したには力の入りかたが尋常ではないと言うか、センスを感じる作品に仕上がっています。こいつはオススメです。

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アトランタ出身の女性シンガー、Miloh Smithの1stとなるミクステ、"Pulp Fiction"。いわずと知れたタランティーノ作品のクラシックとの同名ですが、こちらも負けじと良作となっています。いきなりQueenのBohemian Rhapsodyで幕開けするという挑戦的なイントロで始まり(本人のサイトではFavorite Songとしてあがっています)、02. Revolverでもどこかクラシカルなサウンドの上をたゆたうようなボーカルが覆います。かと思えば03. VHS Tapeではハードなドラムビートでラップを披露してみたりと、好き勝手やっている印象です。何かこの自由度の高い感じが、どこかErykah Baduを彷彿とさせる気がして、大器の可能性を勝手に感じています。最近ミクステをリリースしたCyHi The Princeも参加しています。

カリフォルニアのシンガー、Zyah BelleのEP、"Cigars & Amaretto"は全5曲入り。ジャケからしてセクシーな印象を受けますが、サウンド面でも嫌な意味でなく"エロい"音になっていると思います。このブログでも取り上げた、Alex IsleyMaxine Ashleyあたりが好きな人は押さえておいて間違いのないアーティストかと。TOKIMONSTAが手がけたサイケなトラックのタイトル曲01. Cigars & Amaretto、そしてそこからメロディを引用しつつスロージャズアレンジのビートに素敵にスライドするタイトルどおり続編的な位置づけの02. Part 2 ft. Nathoなどなど聴きどころは多いです。

テネシーはナッシュビルのシンガー、Robin Raynelleのミクステ、"Love Killer"。あんまり特筆すべきモノがないような、王道な現行R&Bマナーに則った作品になっています。PettyとStarlitoのラップがカッコ良すぎてすっかり喰われてしまった04. Blue Skies ft. Petty & Starlito、自身の子どもであるJordan Bateyとコーラスで競演するビヨンセ的アプローチな06. Make You Feel My Love ft. Jordan Batey & Keith Rogersあたりはいい曲だと思います。

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まだまだあります。去年のRebellious Soulで一気にシーンに名を刻んだK. Michelleがバレンタインに発表した最新ミクステ、"Still No Fucks Given"。こちらは2012年に発表した"O Fucks Given"の続編となる作品ですが、Rebellious Soulで見せたメインストリーム的なK.Michelleではなく、すごくストリートに寄った構成になっています。もともとミックステープをリリースすることで活動を続けていた彼女なので、こちらのほうが"らしい"スタイルなのかも。最近いろいろあったあの人に対するエールとなる08. Justin Bieber ft. Jeff Robinson(しかし、電話してこいとは…)やその直後の09. I Love The Moneyなど、マジかよと思ってしまうようなモノもありますが、やはり彼女のシンガーとしての高い資質を感じさせる作品も多いです。特に04. Put You On Gameあたりはアルバムに入っていてもおかしくないくらいに美しいメロディセンスを感じます。他にもFrank Oceanや去年同じくシーンを盛り上げたTamar Braxtonのカバーを入れるなど、ミックステープならではの仕掛けもあり、この辺はさすがと言ったところ。今年の動きも楽しみです。

去年末の予定から遅れに遅れてのリリースとなったEstelleのLove & Hapiness 3部作完結編となる"How Stella Got Her Groove Back EP"。待ったわりにIntroやInterludeのせいで3曲ほどしか収録されていませんが、02. Make Her Say (Beat It Up)のトライバルなコーラスと徐々に盛り上がっていくビート感や、もうこの曲が聴けただけで待たされた感情は吹き飛ばされるくらいの珠玉のバラード04. Drunk And Highなど、3部作の中では一番満足度が高い作品だと思いました。サクっと聴けるので未聴の方はこの機会に1&2も合わせてぜひ。


他にもTerrace MartinやTheophilus London、JoJoなどなど、紹介しきれないくらいに2月はリリースが多かったです。このペースでリリースされると本当にチェックしきれないのでどうにかしたい…。

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