Funky Freshin'

日々リリースされる膨大なHip Hop / R&Bの海に溺れながら音源を紹介していきます

たまたまなのかFemaleラッパーたちのリリースが続いたので、今回は久しぶりにFemale特集な感じです。


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トロントのMC、Honey Cocaineのミクステ、"Like A Drug"。どうやら彼女のバースデーにドロップされた作品になるようです。おめでとうございます。
Tygaの主宰するLast King Entertainmentとサインするリリシストの最新作は、やはり"Female"であることに対して主張をしていく作品となっていました。
MVとして公開された04. CurveballにはHoney Cocaine自体は出演しておらず、地元のフェスっぽいところで1人の女性が歩いている姿をバックショットで追っていく映像が主体となっています。
歩く彼女に対してどんどんナンパしてくる男をひたすらいなしていくという内容になっているのですが、リリックにも出てくる"Motherfxxkin Scrubs (いけてない男、的な意味)"を揶揄する曲でありながら、"ホイホイついてくんじゃねぇ"という、女性に対する叱咤の一面もあるんじゃないかと思っています。このういったアプローチはFemaleラッパーならではと言えるんじゃないでしょうか。
客演には相変わらずのラップ巧者であるSnow Tha Productや、ちょっと過剰なくらいに情感こめた歌いかたをしてくるTory Lanez、他にもKid InkやMainoなどが参加。短めの曲とトラックリストでスパッと終わるのも好印象です。



次はデトロイトのラッパー、Dej Loafの1stとなるお披露目ミクステ、"Sell Sole"。このミクステにも収録されている"Try Me"がWiz Khalifaのリミックス以降バズりにバズり、Bobby Shmurdaの"Hot Nigga"に続く今年を代表する曲に名を連ねたわけですが、そんな彼女が単なる"ラッキーストライク"でないことを証明するための重要な1枚です。
バズヒットには同時にそのビートを生み出したプロデューサーにも注目が集まり、Hit BoyやWondagurl、Bootsといったメンツがスターダムにのし上がったわけですが、"Try Me"、そして本作でも多くのビートを提供しているDDSも、Dejとともに真価が問われる作品になっています。
同じミシガン州のイプシランティという都市からメールでビートを提供したDDSのサウンドは、現行アトランタのトラップをベースとしながらも、お隣シカゴのバップに影響を受けたようなハネたビートも持ち味です。Dej Loafの冷めた面もある抑制されたラップは、シカゴ・ドリルシーンのラッパーと比較される面がもしかしたらあるのかもですが、このDDSのビートに少しシカゴの香りを感じるからかもしれません。
正直なところを言うと、"Try Me"以後を感じさせる強烈な印象というのは得られず、結局ラストに流れるこの曲が全てを持っていった面は否めませんでした。ただ、この感想はQueにしろBobby Shmurdaにしろ過去にシーンにうねりを与えたラッパーであれば避けては通れないものでしょうし、ラストに持ってきたことである種の禊ぎを果たした、とみれば俄然つぎのステージが楽しみになってきます。


関連動画にHot Niggaが出てきたりするのが何とも。


3枚目のこちらもデビュー作となるのはアトランタのラッパー、Chyna Deeの"Made In Chyna"。
まったくノーマークなMCで、datpiffで偶然見つけてジャケにひかれてDLしてみました。
いきなりイントロでサウスっぽくないアフロセントリックなリズムと激しいシンセから幕開け、意表を突かれた感じでした。
その後はダーティサウスな趣きのハードなトラップサウンドが続きますが、彼女のラップも非常にタフなスタイルで、今や珍しいともいえるマシンガンフローなスタイルも見せたりと、粗削りながらも勢いがあります。
Def Jamを離れたTrinidad Jame$(元気そうでなにより)を迎えた06. Nothing Newを経ての07. Good To Youあたりがハイライトになりそうです。

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ジャケにもあるようにRuler's Backな意匠もバッチリな、ブロンクスのMC、Remy Maの出所後初めてとなるミクステ、"I'm Around"。上で挙げたDej Loafの"Try Me"のリミックスなんかもやってましたが、しかし6年の刑期を経て「お前ら待たせたな」的なカムバックを果たせるシーンてなかなかすごいですね。
Remy Maがいない間にゲームの状況は様変わりして、ヒップホップの定義すら今昔出てきそうな勢いですが(そう考えるとLil Kimの存在感が際立ちます)、8月の出所から2ヶ月でリリースという非常にフットワーク軽い動きを見せています。
イントロからDJ Khaledを迎えたド派手な趣きで始まり、TWERKなイキフンの04. Dying To Be Meなど、現行シーンへも早々にフィットした様をアピールしていきます。他にもBuckwildプロデュースのこれぞゼロ年代ニューヨークサウンド、といった感じの09. WSBH (スラングの嵐)、旦那のPapooseとの掛け合いでイチャつく11. Black Loveあたりは聴きごたえもあります。
ひとつ気になっていたのが、ジャケでRemy Maが左手に持っている燃えたブラジャー。いろいろ考えたんですが、右上に手書きで書かれた"Why are you afraid of me when I open my mouth but not when I open my legs?"との関連を見ると、女性性の象徴であるブラジャーの焼失で1人のMCとして新たなステージへ向かう、彼女なりの決意表明なんじゃないか、と勝手に結論を出して納得したことにしています。


5枚目はこのブログでもたびたび取り上げている、ノースカロライナのレーベルであるJamlaの看板娘、Rapsodyの新作、"Beauty And The Beast EP"。Jamlaのコンピへの参加はありましたがソロ名義の作品はちょうど1年ほど前の"She Got Game"以来。
作品を経るにつれストーリーテリングの
方向に深化していき、ラップというよりかは独白やポエトリーリーディングにも近いものを感じさせます。
サウンドとしてはこれまでと同じく9th WonderやKhrysrs、Eric GのSoul Councilによる盤石の体制を敷いていますが、それぞれのサウンドの方向性は異なるものの全体として一本に繋がる、彼らプロデューサーチームによるトータルプロデュースと言ったほうが良いかもしれません。
今作ではとにかくEric Gのビートがすばらしく、Heather Victoriaのフックも印象的な02. Who I Am、Problemをゲストに迎えた上ネタのコーラスの鳴りが暖かい05. Waiting On It (Baby Girl)や、ラストながら本作で一番ハードなビートとも言える10. Forgive Meなどバラエティに富んだビートを提供しています。
そんなEric Gビーツで個人的にとにかくハマったのは08. The Manです。ピアノのメロディーも美しいバラードな女性シンガーネタを、アドリブ部分をチョップしていくシンプルなビートですが、Rapsodyによる1人の男の生きる様子を緻密に包み込むように描いていくリリック(これがまたすばらしい)とともに流れるように自分の中に入ってきます。
本作を聴いていて思ったのは、RapsodyのリリックにはFワードやちょっと品がないようなスラングがほとんど登場しないんですよね。そんなワード使わなくてもラップできるぜ、という意図で狙ってやってるのかもですが、このあたりも彼女のラップに知的な一面を感じる理由かも。


ラストはLAのサウスセントラルのMC、Tatiana Roseのデビュー作、"The Appetizer"。Chyna Deeと同じくdatpiffを掘っていたら見つけたラッパーです。
アタマから02. Sucker FMCsと挑戦的な曲で始まりますが、90年代を意識した抑制されたビートとも相性よく小気味いいフローでラップしていきます。
途中、06. Westside、07. Jessica Rabbitといったあたりで現行LAなビートにもトライしていて、これはなかなか良いのですが、08. Hardで明らかにコードを無視したヘタウマなフック(Tatiana Roseの歌ではないのですが)が挿し込まれて来た時はちょっと断念しかけました。
その後の11. GHETTO Love、12. Just Like Youにみられるアンダーグラウンド・ブーンバップな雰囲気の曲は本当にすばらしく、これだけでも聴く価値はあると思ってます。
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