Funky Freshin'

日々リリースされる膨大なHip Hop / R&Bの海に溺れながら音源を紹介していきます

一個前の記事がちょっと文量多く書きすぎて自分でもワケわからなくなってしまったので、今回は軽めにサクサク紹介していきたいと思います。

f70c65270ce50a69af48f88db3874c32 cover Stalley_Ohio
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一枚目はヒューストンのラッパーであるBeatkingがホストを手がけたコンピレーションアルバム、"Houston vs Everybody"。このBeatkingについてはあまり詳細を把握できておらずほんと申し訳ないのですが、今年ジワジワとその名を広げていったようなラッパーで、独特のとろけるようなスクリュー感がクセになる"Pole Sex EP"や、メンフィスの大御所であるGangsta Booとのコラボでありかつ名作となった"Underground Cassette Tape Music"などなど、2014年の要所要所で必ず名前を目にしたラッパーです。
そんなBeatkingがホストとなり、ヒューストンをレペゼンするラッパーをフックアップしていくコンセプトとなっている本作は、ヒューストンラップの今を満喫できる充実した内容になっています。まず初っぱながDJ Screwのシャウトから始まるわけでして、タイトルにもあるようにヒューストンラップを今のヒップホップの文脈の中にきちんと捉え直すきっかけになる重要な1枚の可能性を秘めています。名前を連ねるラッパーはSlim ThugやPaul Wallといったあたりを始めとして、DeLoreanやMaxo Kream、DoughBeezyにKirko Bangzのような若手ヒューストンラッパーまで抜け目なく押さえています。
07. 2 Rounds / Propain ft. Rich Homie Quan & Kevin Gatesや19. Picture Me Swangin / DeLorean ft. Slim Thug, Paul Wall, Lil Kekeなどの"らしい"曲からズブズブな雰囲気の曲まで取り揃えていますが、23. Something Different / Just BrittanyのようなシンガーによるエモいR&Bもあったりと、バラエティある構成になっていて、ヒューストンの豊富なタレントを味わうことができます。2015年以降のシーンを占ううえでもしかすると"ヒューストン"がキーワードになってくるのかもしれません。
本作では飽きたらずさらにおかわりを求めるかたには、ヒューストンスクリューシーンを支えるDJ Michael Wattsによるスクリュー版(スウィッシャハウス版)も取り揃えてございます。→"Houston vs Everybody (Swishahouse Remix)"。

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2枚目はオハイオ出身でいまはハリウッドに拠点をおくラッパー、Jimmy Hu$tleのミクステ、"Dumb Hustle"。ジャケからはGな雰囲気も漂うラッパーですが、ミクステとしては非常に真っ当にオハイオらしい、中西部~南部の影響をそこはかとなく感じさせる独特なサウンドを形成しています。
客演なしの男らしい構成で練り上げられた本作ですが、サウスっぽい緩くレイドバックしたスローモなソウルネタを中心に倍速フローで言葉を詰めこんでいく、ともすれば一昔前のようなラップスタイルが今のシーンにはとても新鮮に写ります。
特に今作ではAsh Eraというプロデューサーの曲が非常にスパイスとして機能しており、緩いループとフックで挿し込まれる音が心地よい02. Grade A、気の抜けたメロと男臭い808のベースの対比が良い感じの05. $2 Bitch、一転してエモいサンプルネタが終盤へのドラマティックな雰囲気を盛り上げる09. Bottom Bitchの3曲どれもが本作のハイライトになっています。
聴かず嫌いは抜きにして、とりあえず一聴してみてほしいラッパーです。

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こちらも同じくオハイオのラッパー、Stalleyのやっと、という感じの1st フル・アルバムとなる"Ohio"(iTunesへリンクしています)。所属レーベルであるMaybachのコンピやミクステでは名前を目にしていましたが、ついに、というべきか、やっと、というべきかのアルバムです。
そんな鬱憤(本当に溜まっていたかはおいといて)を晴らすかのようにイキイキとしたラップを披露するStalleyと、そのデビューを祝すために集まったメンツもNipsey HustleにRick Ross、August AlsinaにTy Dolla $ignといったシンガー勢、そして何と言ってもDe La Soulの面々の参加と、豪華絢爛といったところ。
本作では盟友でありStalleyのサウンドの根源を担ってきたと言っていいRashadがメインプロデューサーを務めており、シングルカットもされた02. Jackin' Chevys、"Boomin!!"のシャウトと浮遊感漂うビートが印象的な04. Boomin、そしてRashad自身も客演として参加している10. Chevelle ft. Rashadなどなど、本作でもそのタッグの相性の良さを披露しています。
この作品、収録時間も短めなこともあって、気を抜くとスルっと通ってしまうようなスムースさで流れていくのですが、決して気を抜いてはいけないくらいの秀作であると思っています。Maybach周辺が気になる人は押さえておいて間違いないアルバムに仕上がっていますのでぜひともチェックを。




Taras_The_Artist_Emotions_Ep-front-large 2014-11-11-23-02-25 Lil_Boosie_Life_After_Deathrow-front-large
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イリノイはシカゴのラッパー、Taras The ArtistのEP、"Emotions Ep"。彼のfacebookページを見ると1992年にウクライナに生まれたとのことで、ちょっと珍しいBioかなと思いました。この作品の以前にも"Birth of Imagination Epを同じくdatpiffにリリースしていたり、bandcampには"You"というアルバムをほぼ同時に出しておきながら相互にリンクがいっさいされていないあたりやる気があるのかないのかよく分からない感じです。
ビート感なんかはヒップホップではあるのですがアコースティックな音が多く挿し込まれてくる、どことなくフォーキーだったりネタチョイスの温かみだったりが独特なサウンドが特徴です。というか05. Officialなんかは完全にフォークやカントリーに分類される雰囲気になっています。
いろいろと聴いてみましたが掴みどころがないような、一本筋が通っているような、という面はありますが決して聴いていて悪い気はしない、という何とも言えない感想が全てなラッパーでした。もう少し弾けたスタイルのサウンドも聴いてみたいところです。

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お次はブルックリンのラッパー、Manny Blancoのミクステ、"CoolRaps"。FatallyCool Musicというインディレーベルに属するMCのようで、今作は全てレーベルメイトのプロデューサーによるビートとなっています。(このFatallyCool Musicには関連してこちらのミクステもあるようです。)
本作は彼らプロデューサー陣によるサンプリング主体のサウンドに、Manny Blancoの軽妙なラップが絡みあいます。ネタ感強めなサンプル使いっぷりとフローの間に挿し込まれる彼のシャウトの雰囲気からは、ちょっとDipsetやTalib Kweliあたりの影響も感じます。要は東っぽいラッパー、といったところでしょうか。
Curtis Mayfieldネタ?が小気味いい03. Chinese Food x Koo Aid ft. Twixxx、ボートラとして収録されている12. Superあたりの軽いノリ、ほんと大好きです。上に挙げた東のラッパーたちが好みなかたも、Chance The RapperのSave Moneyあたりが好きなかたなんかにも引っかかるMCだと思います。



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ラストはバトン・ルージュのラッパー、Boosie Bad Azzのミクステ、"Life After Deathrow"。すげータイトルなミクステでデビューする新人もいるもんだなと、ろくに調べもせずにDLして聴いてみたところどこか聴いたことのある雰囲気。調べたところLil Boosieが今年Boosie Bad Azzへ改名していたことを遅まきながら知りました。そもそもLil Boosie自体相当久しぶりな感じですし、余計に驚いてしまいました。
そんなLil...じゃなくてBoosie Bad Azzとしては1stとなるミクステは全18曲のボリュームある内容でちょっとお腹いっぱいなところもあるのですが、この辺は毎回曲数多めに畳み掛ける彼らしい一面といったところでしょうか。
ピアノのシンプルなループがアンセムな雰囲気を煽る04.  I Feel Ya、これぞサウスなイキフンがたまらないラスト曲の18. O Lordあたりが個人的には好みでした。客演にはYo Gotti、Tray Songz、Shy Glizzryらが参加し久びさのシーン復帰に華を添えています。


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